東洋医学とは
西洋的な化学療法や、外科的治療で病気や怪我を治す西洋医学に対して
人間が本来備えている「自然治癒力」を最大限生かして体の機能回復をはかる医学です。
確かに、発症後の治療では西洋医学の方が即効性があり絶大な効力を発揮します。しかしできれば病気になどかかりたくはないですよね。
最大の違いは、基本的に発症してからの対応になる西洋医学に対し東洋医学は発症してからの治療だけでなく、発症前に予防できるという点にあります。また、投薬や手術を行わないため、患者側に負担が少ないとされています。
古くから日本には東洋医学を根としたあんま・鍼灸といったような療法・手法がありましたが、明治以降、特に第二次大戦後、経絡やツボなどは科学的根拠に欠けるとの判断から、東洋医学は一旦排除の方向へ向いました。
確かに、東洋医学は、西洋医学に比べ未知数の(科学的に証明されていない)分野も多くありますが、確実に成果をあげている療法や処方も数多くあります。
それゆえに、最近では医療に携わる人々の中でも、東洋医学への見直しが進み、関心が高まっています。すでに、多くの病院でも治療・予防の両面で西洋医学と併用されてきています。
申し遅れました。はじめまして、松嶋みゆきと申します。
現在、「日本愛犬東洋医学研究会」の会長をしております。
このページをお読みくださり有難うございます。
日本愛犬東洋医学研究会とは?
2005年に大阪で設立。「経絡・ツボ」といった東洋医学の考えを犬の体に応用し
指圧やマッサージといった、飼い主自身で比較的簡単に行えるケアを通じて
ワンコの病気の治療・予防に取り組んでいます。また、ワンコの体の内面から自己治癒力を活性化させることにより
老いに負けることのない、元気なワンコとの幸せな生活を考える会です。
活動内容
大阪府下にて有志による勉強会などに取り組んでいます。まだまだ小さな活動ですが、この研究会の活動を通じて
全国のワンコがいつまでも健康で、幸せな人生(犬生?)を
送ることができることを最終目標に掲げています。
ここで私が日本愛犬東洋医学研究会を設立し、
この本を執筆するに至った経緯をお話させて頂きます。

私の家にも当然のことながら愛犬がいます。
「メイ」という名の柴雑種です。女の子。御歳15歳。我が家の長老様です。
私とメイが出会ったのは私が23歳の時。
(あっ!私の年齢がばれてしまいますね・・・^^;)
当時、大学卒業後、就職して1年近くが過ぎていた私でしたが人間関係のトラブルから、過度のストレスに陥ってしまい、
とうとう医者から「鬱(うつ)病」と診断されるまでになってしまいました。
仕事も辞め、自宅療養することになりましたが、大変な日々でした。今だから笑って話せますが・・・
そんな中、少しでも私の気が晴れればと、
両親が知り合いからもらってきてくれた子犬が「メイ」でした。
メイと出会ってから、私は「急激に」ではないにしても次第に良くなっていきました。
もちろん、両親や友人の力添えもいっぱいありましたが、一番効いたのはメイとのふれあいだったのではないかと思っています。
アニマルセラピーとしての効果もあったのかもしれません。 動物には本当にふしぎな力がありますね。
そんなみんなの尽力もあり、1年後にはアルバイトとして働くことができるまでに 回復しました。
アルバイトを始めてからも恩人(恩犬?)であるメイの世話は
よっぽど忙しい時を除いて、ほぼ自分でしてきました。
それからしばらくの間は幸せな日々が続きました。

私が32歳。メイが9歳の時です。
私は友人の紹介で出会った男性(現、夫)との結婚が決まり、
その準備に日々駆け回っていました。
メイも連れて行くことが決まっており、
ペットOKの部屋探しなど忙しくも幸せな毎日でした。
そんな毎日の中で浮かれていた私は、
メイの変化に気付いてあげることができませんでした。
そんなある日・・・
準備も一段落し、久々にゆっくりと過ごせる日の夕方にそれは起こりました。
突然メイが嘔吐し始めたのです。
それも胃の中のものを全て吐き出すほどの激しい嘔吐でした。
もともとあまり体の強い方ではなかったのですがあまりの症状に恐ろしさすら感じながら、
慌ててかかりつけの獣医さんに連れて行きました。
ぐったりとしたメイ・・・
獣医さんの診断は「肝炎」でした・・・

私は驚きのあまり呆然となっていました。
実際、その時のことははっきりと覚えていません。
ただ様々なことが頭の中をぐるぐる回っていたように思います。結局メイは「慢性肝炎」と正式に診断を受け、緊急入院させることになりました。
呆然としている私の変わりに母が手続きをし、獣医さんにお願いをして、病院から帰るときも私はまだ、魂が抜けたようだったと後で母に聞きました。
その日の夜自分の部屋に閉じこもり私は泣きました。とめどなく泣きました。
自分が気付いてあげられなかったせいでメイが死んでしまうかもしれない・・・
そう考えると、後悔と自己嫌悪に押しつぶされそうでした。
でも、ただ「ごめんね」と言うことしかできませんでした。

それから私の通院生活が始まりました。と言っても毎日メイのお見舞いに行くだけですが。
毎日メイの心配をしていた私も大変でしたが、両親はもっと大変だったと思います。メイの心配と同時に、また私が鬱になってしまうんじゃないかとハラハラしていたそうなので・・・
しかし、幸いなことに私の鬱は再発しませんでした。
というのも、メイの「肝炎」は結構進行していたものの「肝硬変」までは至っていなかったからです。もちろんそれがわかってから獣医さんにはこってりと絞られました(笑)
ちゃんと気付いてあげられればもっと楽に治せたのに・・・と。
しかし、先生も少し安心された様子でした。
なんとなく安堵の空気が漂い始めましたが しかしまだまだ油断は禁物です。
というのも、肝炎の治療は肝臓に負担をかけないためにも
化学物質等の投薬はあまり好ましくないからです。
もちろん投薬で治療する方法もありました。
しかし、メイの場合、年齢的なこともあり、安静と食餌療法を行い
メイ自身の回復力に頼ることになりました。
そんな私に獣医さんが教えてくれたのが「東洋医学に基づいた指圧マッサージ」でした。

正直最初は私も半信半疑だったのですが…。
なぜなら、まず犬にもそういうツボがあるということが初耳だったのと
東洋医学に、「気功」など少し怪しいイメージがあったからです。
しかし先生が言われるには、
「犬に限らず、全ての動物にツボというものはあり
それを刺激することで、病気の改善や予防をすることができます。」
ということでした。
私はまだ「何もしないよりは…」という気持ちでしたが
メイが退院してきてから、早速実践してみることにしました。
1日約10分。
「胆兪」「肝兪」と呼ばれる背中のツボを押したり、マーサージしたり。
メイも初めての体験に少し戸惑い気味でしたが、一週間ほど経つと、
気持ちいいらしく、なんともいえない幸せそうな表情をするようになりました。
まだ効果があるのかどうかはわからなかったのですが、メイがあまりにも幸せそうな表情をするので、毎日欠かさず指圧マッサージを続けていました。

先生から嬉しい報告を受けました。
「さすがにまだ完治したわけではないけれど、
先生の予想よりも遥かに早いスピードで回復している。」との事でした。
食餌療法もしっかりと行っているとはいえ
「指圧マッサージに効果があるんだ!!」
と実感した瞬間でした。
私は嬉しくなり、さらにいろいろなツボのことを先生に教わりました。しかもそれだけでは飽き足らず、自分で本を読んだりもし始めました。
もちろん知り得た情報はメイに実践です。
(時々場所を間違えて、メイに叱られることもありました^^;)
そしてその結果が現在のメイです。上にも書きましたが、御歳15歳。
さすがに老いを感じるようになりましたがまだまだ自分の足で散歩を楽しむ日々です。
愛犬家友達の中では「奇跡のワンコ様」とも呼ばれたり(笑)

もちろん健康の秘訣を知りたがる友達もいました。
指圧マッサージのことを教えてあげると
最初は昔の私と同じようにみんな一様に半信半疑です。
しかし、1日10分という手軽さと
気持ちよさそうなワンコの表情に後押しされて、みんな毎日続けています。
するとどうでしょう。
どんどん嬉しい声が周りから聞こえ始めてきました。
「便秘が治った」
「下痢が止まった」
「歯周病が治った」
「糖尿病が改善してきた」というワンコもいました。
私はこんなにも素敵な指圧マッサージをもっといろんな人に知ってもらおうと
3年前に「日本愛犬東洋医学研究会」を設立し、時間の許す限り活動を行っています。
しかし、主婦業のかたわらになりますのでどうしても活動範囲は限られてくるのです。
私は次第に目の届く範囲だけではなく、全国のワンコが気になり始めました。そこで、今回書籍という形で全国の愛犬家の方々に知って頂こうと考えました。
それが今こうしてあなたの目に触れることになったことを嬉しく思っています。
長くなりましたが、以上が執筆に至った経緯です。

始めにお断りをさせていただきます。私は西洋医学そのものを否定するわけではありませんし、東洋医学が絶対だと言うつもりもありません。
今でもメイの調子が悪くなってしまったら獣医さんに行きますし2ヶ月に1回は定期健診を受けさせています。
やはり発症してしまった病気を治すならば西洋医学的治療の方が、即効性があります。しかし、その絶大な効力の分副作用も大きなものになってしまいます。
人の場合でもそうですよね。
例えば、風邪薬を飲めばボーっとしたり眠くなったりしますし、極端ですが、強い抗がん剤を飲めば頭髪が抜け落ちたりもします。手術ともなれば人間でさえ大変な体力を必要とします。
ましてや体の小さなワンコであれば、その負担も大きくなってしまうでしょう。
つまりは西洋医学が必要になってしまう状況が好ましくないということです。

多くの愛犬家の方は定期的に予防接種を受けさせていると思います。
予防接種により、ウィルスや細菌、微生物が原因で起こりうる
恐ろしい病気からワンコを守ることができます。
しかし、ここに意外な落とし穴があります。
ここで注意しなければならないことが「予防接種で全ての病気を防ぐことはできない」ということです。確かに予防接種によって、かつて多くのワンコと愛犬家を苦しめた病気が駆逐されていっています。
しかし、炎症や腫瘍、生活習慣病などワンコを脅かす病気は他にも多々存在します。
そしてそれらの多くはワクチンでは予防できないものばかりです。
残念ながら、予防接種を受けることで「もう大丈夫」と安心しきってしまっている
飼い主さんはまだまだ多いように見られます。
「私は数ヶ月に一回は定期健診を受けさせています!!」という方もおられるでしょう。
素晴らしい習慣だと思います。
万が一の時の早期発見を心がけるためにも是非これからも続けてあげて下さい。

健診で何かが発見されるということは
すでに可愛いワンコに異常があらわれてしまっているということです。
ワンコ自身にもまだ自覚症状がなかったとしても
少なからず、体に負担はかかってしまっているはずです。
かつての私もそうでした。
えらそうなことを言ってしまいましたが、実はメイが病気にかかるまでは私もそうでした。
年に一回予防接種を受けさせ、時々健診に連れて行って
異常がなければ安心する、といったごく一般的な飼い主だったと思います。
私はお医者さんでもなければ、神様でもない。できる限りのことはしてあげれている。 と思っていました。
しかし、ちょっとした油断からメイを苦しめることになってしまいました。

答えは簡単です。
できる限り全ての病気や怪我を未然に防いであげる。
これがワンコに私たちがしてあげられる最良のことだと私は考えます。
しかし、先ほども書いた通り、
私たちは、お医者さんでも、専門家でも、神様でもありません。
(中にはお医者様もおられるでしょうが…^^;)
私も10年ほど独学で東洋医学の勉強をしていますが、いまだに、少し本格的な話になるとちんぷんかんぷんです(汗)
そんな私たちに突然「本格的な施術を」と言われてもできるはずがありません。
また、素人知識で本格的な施術を行った場合、
取り返しのつかない状況になってしまうことも考えられます。
ですので、まずは間単に始められる
「一日10分間でできる指圧マッサージ」
をしてあげて欲しいのです。

「ワンコのための実用東洋医学」を実践することで、自分の愛するワンコが元気になっていく姿を目の当たりにして、驚きを隠せない人を私は何人も見てきました。
すでに愛犬に実践している近藤さんはそんな中の一人でした。
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